時間はかかりますが、確実に、そして健康的に痩せられる筋トレダイエット。除脂肪と筋肥大を組み合わせることによって「スタイルをデザインできる」ことから、人気が高まっています。

しかし、「筋トレによって痩せることが筋トレダイエット」だと考えているのであれば、根本的に誤解してしまっている可能性があります。

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筋トレダイエットとは?

  • 筋トレ→筋肉を減らさないため
  • 食事制限→痩せる(体脂肪を減らす)ため
  • 休養→肉体的、精神的疲労を回復させるため

筋トレダイエットは、「筋トレによって筋肉量を維持し、摂取カロリーを制限することによって体脂肪を減らし、休養によって刺激した筋肉の回復させる」という3要素が柱となっています。

筋トレは筋肉を減らさないために

筋トレダイエットと聞くと「筋トレの消費カロリーによって痩せる」「筋肉を増やすことで基礎代謝を向上させて痩せる」と考えてしまいがちです。しかし、ダイエット中におこなう筋トレの目的は「筋量を減らさないこと」にあります。

ダイエットをはじめると「生命活動を維持するために不足したエネルギーを補う必要」がでてきます。この不足分を脂肪から補ってくれればよいのですが、人間の体は「筋肉よりも脂肪の方が重要」だと判断します。

血糖値が下がると、今度は糖質を供給しようとして、コチゾールというホルモンが、副腎から分泌されます。これは血糖値を上げるという働きがありますから、減った糖質は補給されます。どこから補給されるかといえば、主として肝臓と筋肉です。筋肉のなかのたんぱく質を分解して、エネルギーを補給するのです。

引用元:石井直方「一生太らない体のつくり方」P47より

痩せるためには、「消費カロリー>摂取カロリー」の状態を作り出さなければいけません。ダイエット中に「ある程度の筋肉量が減るのは仕方のないこと」です。

トレーニングスタイル

【補足】トレーニング経験がなかったり、(維持するべき)筋肉量が大きくない場合には、厳しいカロリー制限をしなければ筋肉量を増やすことも可能です。

しかし、筋トレ(筋肉に強い刺激を与える運動など)をしなければ筋肉量の減少割合が大きくなります。一時的にダイエットに成功したとしても「すぐにリバウンドしてしまう」という最悪な結果になってしまいます。

食事管理は体脂肪を減らすために

筋肉量を維持しながら脂肪だけを減らすためには、筋トレと並行して食事管理を実施する必要があります。これは、運動による消費カロリーというのは驚くほど少なく、食事管理をおこなった方が効率的であるためです。

「食べないダイエットは体に悪い」という言葉を都合よく捉えて「しっかり運動して、しっかり食べる」と考えてしまう人も少なくありません。

しかし、運動による消費エネルギーというのは大きなものではないのです。

エネルギー収支バランスが、体脂肪を落とすためのもっとも大切な条件であることを再確認しておこう。そしてこれに食べ方や、栄養バランスなどの条件がオプションとして加味されるのだ。

引用元:石井直方・谷本道哉(共著)「体脂肪が落ちるトレーニング」P154より

難しく考えてしまいがちですが、「痩せるか太るかはエネルギー収支が全て」です。エネルギー収支がプラスになれば太りますし、マイナスになれば痩せます。

そこで注目してほしいのが、痩せたのは「何が減ったことによって体重が落ちたのか?」という問題です。食事制限だけのダイエットや、厳しいカロリー制限は、「体脂肪の減少よりも筋肉量の減少の方が大きくなります」ので注意してください。

休養は筋肉や疲労(肉体・メンタル)を回復させるために

「痩せるか太るかはエネルギー収支が全て」だと聞くと、単純に「運動量を増やして摂取カロリーを制限すれば早く痩せる」と考えてしまいがちです。

しかし、適切な休養がなければ筋肉量の減少を加速させてしまうことにもなりかねません。これは、筋肉が成長するためには「適切な刺激・適切な栄養・適切な休養」という3要素が満たされている必要があるためです。

また、上記の3要素が崩れてくると、「オーバートレーニング」のリスクが高まります。健康的に痩せるためにも休養を疎かにしてはいけません。

トレーニングスタイル

【補足】オーバートレーニングとは、過剰な運動による慢性疲労が蓄積し、休養をとっても回復しづらくなることです。場合によっては日常生活に支障をきたすこともあります。

オーバートレーニングは、プロスポーツ選手やアスリート特有のトラブルだと思われがちです。しかし、一般のスポーツ愛好家や短期間での肉体改造に取り組む人の中にもみられる症状ですので、他人事ではありません。

食事について

ダイエットを成功させるために、最も即効性のあるのが食事管理です。しかし、厳し過ぎるカロリー制限やバランスの悪い栄養バランスでは「体脂肪だけを減らす」ことは困難です。

脂肪を減らすためには食事管理が必要

繰り返しになりますが、体脂肪を落とすためには「エネルギー収支を赤字にする必要」があります。そして、運動による消費カロリーというのは驚くほど少ないものですので、自ずと「摂取カロリーを減らしていく」ことになります。

しかし、少なすぎる摂取カロリーでは「体脂肪の減少よりも筋肉量の減少が大きくなる」というデメリットがあります。

トレーニングスタイル

【補足】筋肉量を維持しつつ体脂肪を減らすためには「目標体重kg×30kcal」くらいの摂取カロリーを下限値とするべきです。

また、これまでに「様々なダイエットを繰り返してきている人」の場合、極端に基礎代謝が低くなってしまっている(筋肉量が減少してしまっている)ことがあります。

「さほど食べていないのに痩せない(太ってしまう)」というのであれば、間違ったダイエットによって「筋肉量を減らしてしまっている」可能性があるのです。

PFCバランスを整えることからはじめる

痩せたいからといって、はじめから極端な食事制限をすることはおすすめしません。これは、ダイエットを挫折してきた人の多くは「栄養バランスが崩れている可能性」が高いためです。

三代栄養素といえば、「P:タンパク質・F:脂質・C:糖質(炭水化物)」ですよね?

トレーニングスタイル

【補足】P:プロテイン(タンパク質)、F:ファット(脂質)、C:カーボ(糖質)

一般的な生活をしている場合、三代栄養素(PFC)のバランスは「P13%、F25%、C62%」だとされています。

肥満に悩んでいる人の多くは、摂取カロリーが過剰なことに加えて「PFCバランスが極端に崩れていることが多い」ものです。カロリー制限をはじめる前に、まずは「PFCバランスを整える」ことが大切です。

また、筋トレダイエットに取り組んでいるのであれば、(筋肉量を維持するために)筋肉の材料となるタンパク質を「体重1kgあたり1.5~2gほど摂取する」必要があります。

具体的な例を挙げるとすれば、体重65kgで目標体重60kgの場合、カロリー制限の下限値が1800kcal(60kg×30kcal)となりますので、タンパク質で390~520kcal、脂質で360kcal、残りの920~1050kcalを糖質で摂取するということになります。

トレーニングスタイル

【補足】ダイエット中であれば脂質の比率を10~20%まで下げることが基本とされています。今回は20%として計算しました。脂質の割合に関しては、体調面を考慮しながら調整してください。

はじめから過度な食事制限をしないこと

ダイエット中の摂取カロリーは、「目標体重kg×30kcal」が下限値となります。しかし、PFC比が崩れているのであれば、カロリー制限をはじめる前にPFC比を見直しただけでも痩せられる可能性があります。

「目標体重kg×30kcal」でのカロリー制限は切り札としてください。

はじめから下限値でのカロリー制限をするよりも、現在の摂取カロリーで「体重1kgあたり1.5~2gのタンパク質」を心がけただけでも十分に効果はあるはずです。

カロリー制限は段階的におこなうこと(例えば200kcalずつ減らしていくなど)が基本であり、1週間の平均体重や体脂肪率に変化がなくなってきた場合の刺激として利用するとダイエットがスムーズに進みやすくなります。

トレーニング(筋トレ)について

筋トレダイエット中の筋トレは「筋肉を増やすものではなく、筋肉量の減少を最小限に抑えるためのもの」だと書いてきました。しかし、ダイエット中は「増やすつもりで筋トレに取り組まなければ」維持することすらできません。

無理のないトレーニング計画

ダイエット(除脂肪)は、筋肥大と比べれば短期間で効果を実感することができます。短期間といっても、「月2~3kgペース」ですので、(目標体重によっては)ある程度の長期戦を覚悟しなければいけません。

ポイントは、続けられることです。

どんなに完璧なトレーニングメニューを計画したとしても、続けられなければ意味がありません。「100点を目指すのではなく、合格点を取り続ける」ことが大切なのです。

下半身・胸・背中などの大きな筋肉を刺激する

ダイエット中におこなう筋トレは、大きな筋肉(大筋群)の種目が基本となります。大きな筋肉を刺激することで、成長ホルモンなどの分泌が促されて体脂肪が分解されやすくなります。

また、「バランス良く鍛える」という意味でも、下半身・胸・背中のトレーニングというのは効果的です。(自重トレーニングで)具体的な例を挙げるとすれば、スクワット・腕立て伏せ・懸垂などです。

基本的には一種目3セットを目指す

筋トレの基本は、「筋肉を疲労困憊にすること」です。
そのためには、80%1RMほどの負荷と、3セットほどの運動量が必要です。

トレーニングスタイル

【補足】80%1RMとは、全力で1回反復できる重量の80%の重さという意味です。80%1RMは、約8回反復できる重さになります。

トレーニング効果を得るためには、「強度」「量」「頻度」という3要素がポイントです。いずれの要素が欠けていても、トレーニングの効果を最大限に得ることは難しくなります。

2セットでも効果がないわけではないのですが、3セットとの間にはわりと大きな差がありました。ですから、やはり3セットは行っておきたいところです。

引用元:石井直方「石井直方のトレーニングのヒント」P18より

理想は、「80%1RMの負荷で3セットおこなうこと」です。

しかし、はじめから3セットにこだわってしまうと、一番重要な「継続すること」に支障をきたす可能性も考えられます。

ストレスに感じない範囲で実施し、慣れてきたら「80%1RM、3セット」のトレーニングができるようになることを目指しましょう。

【まとめ】食事・トレーニング・休養のバランスがポイント

筋トレダイエットは、「食事・トレーニング・休養」という3要素で構成されています。いずれが欠けても効果を得ることはできません。

  • 体脂肪を減らすのは食事管理。
  • 筋トレの目的は、筋肉量の減少を抑えるため。
  • 休養が適切でなければ、トレーニング効果は得られない。

また、体を変えるには、ある程度の時間がかかります。雑誌やテレビなどで宣伝されている「1週間で驚きの変化!」という言葉は忘れてください。